誕生日や記念日の乾杯に登場する、淡いオレンジやピーチカラーの華やかな一杯。名前は知っていても「比率はどれくらいか」「泡がすぐ抜ける」と悩む方は多いのではないでしょうか。この記事では、ミモザやベリーニをはじめとするスパークリングカクテルの種類と作り方を、比率と温度という具体的な数値で解説します。あわせて、新宿でプロの一杯を味わうためのお店選びのポイントもお伝えします。
スパークリングカクテルとは、その名のとおりスパークリングワインをベースにしたカクテルの総称です。レシピを覚える前に、まずはどんな魅力があるのか、そしてベースにどのワインを選べばよいのかを整理しておきましょう。ここを押さえておくと、この後のレシピがぐっと理解しやすくなるはずです。
第一の理由は、やはり見た目の華やかさでしょう。細かな泡がグラスの底から立ちのぼる様子は、それだけで場の空気を明るくしてくれます。写真に残したくなる一杯、とイメージしやすいでしょう。
第二に、アルコール度数の穏やかさが挙げられます。スパークリングワイン自体が11〜12度前後、そこにジュースやピューレを合わせるため、完成した一杯は5〜8度前後に落ち着きます。ビールとそう変わらない度数ですから、お酒がそれほど強くない方でも安心して手に取れます。
第三は、食前酒としての立ち位置です。炭酸の刺激と適度な酸味が食欲を刺激するため、コース料理の最初の一杯として選ばれてきました。乾杯の席で定番になっているのは、こうした理由が重なった結果なのかもしれません。
スパークリングワインは産地と製法によって性格が大きく変わります。シャンパンはフランス・シャンパーニュ地方産で瓶内二次発酵によるもの。きめ細かい泡と、パンのような香ばしい香りが特徴です。プロセッコはイタリア産で、タンク内で二次発酵させるため果実味が素直に残り、洋梨や青りんごを思わせる香りが立ちます。カヴァはスペイン産で瓶内二次発酵、シャンパンに近い骨格を持ちながら価格は抑えめ。クレマンはシャンパーニュ以外のフランス各地で瓶内二次発酵させたもので、産地ごとの個性が楽しめます。
カクテルベースとして考えると、果実味のあるプロセッコは桃のピューレと合わせるベリーニに向いています。一方、キリッとした辛口のカヴァやクレマンは、オレンジジュースの甘さを引き締めるミモザに適しているでしょう。意外に思われるかもしれませんが、高価なシャンパンが必ずしも最適とは限りません。複雑な熟成香は、ジュースと混ぜることでかえって埋もれてしまうことがあるからです。
ラベルの「ブリュット」「エクストラドライ」「セック」といった表記は、残糖量による甘辛の区分を示しています。辛口の順に並べるとブリュット・ナチュレ、エクストラ・ブリュット、ブリュット、エクストラドライ、セック、ドゥミセック。「ドライ」と書かれているのに実際はブリュットより甘い、という点は覚えておくとよいでしょう。
選ぶ基準はシンプルです。ジュースやピューレで割る前提なら、辛口寄りのブリュットを選ぶこと。割り材の甘さが加わるため、甘口を選ぶと全体がぼやけた印象になってしまいます。迷ったときは、ラベルの「BRUT」の四文字を目印にすると失敗が少なくなります。
数あるスパークリングカクテルのなかで、もっとも作られているのがミモザでしょう。材料が二つだけというシンプルさが人気の理由ですが、そのシンプルさゆえに比率と温度の差がそのまま味に出ます。
ミモザの材料は、スパークリングワインとオレンジジュースの二つだけです。黄金比率は1:1。150mlほどのグラスであれば、それぞれ60〜75mlずつが目安になります。この比率なら、オレンジの甘みと泡の爽やかさがちょうど拮抗した状態に仕上がります。
ただし比率には調整幅があります。ベースが辛口寄りで「少し酸っぱい」と感じる場合は、ジュースを気持ち多めに。反対に飲みごたえを求めるなら、スパークリングを6対4程度まで増やしてもバランスは崩れません。まずは1:1で一度作り、そこから好みの方向へ寄せていくのが確実です。
ジュースは果汁100%を選びましょう。生搾りのオレンジを使うと香りの立ち方が明らかに変わります。ちなみにミモザという名前は、この黄色みを帯びたオレンジ色が春に咲くミモザの花に似ていることに由来しています。
一つめは、材料をすべて6〜8℃まで冷やしておくことです。ワインもジュースもグラスも冷やします。常温のジュースを注いだ瞬間に温度が上がり、そこから一気に炭酸が抜けてしまうからです。
二つめは、注ぐ順番。オレンジジュースを先にグラスへ入れ、スパークリングワインを後から静かに注ぎます。逆にすると泡が急激に膨らんで吹きこぼれ、炭酸の大半が失われてしまいます。グラスを少し傾け、内壁を伝わせるように注ぐと泡立ちが穏やかになります。
三つめは、混ぜないこと。比重の違う二つの液体は、注いだ時点で自然に対流して混ざり合うようにできています。どうしても気になる場合は、マドラーを一度だけ底から静かに持ち上げる程度に。せっかくの泡を自分で壊してしまう、というのは家庭でありがちな失敗です。
基本形を覚えたら、ジュースを変えるだけで印象が大きく変わります。ブラッドオレンジを使えば深紅のグラデーションが生まれ、味わいにもベリーのようなニュアンスが加わって少し大人びた印象に。
グレープフルーツを合わせるのも人気の変化球です。ほろ苦さが加わることで甘さが引き締まり、食中酒としても成立します。ピンクグレープフルーツなら色合いもやわらかくまとまるでしょう。
飲みごたえを求めるなら、オレンジリキュールを5〜10mlほど加えてみてください。香りに厚みが出て、バーで飲む一杯に近い輪郭が生まれます。加えすぎると甘さが立つため、少量から試すのが安全です。
ベリーニは1940年代、イタリア・ベネチアの「ハリーズ・バー」で生まれたカクテルです。画家ジョヴァンニ・ベリーニの絵画に描かれた聖人の衣の色にちなんで名づけられました。ミモザに比べると少し手間がかかりますが、その分だけ満足感は格別です。
正統なベリーニに使うのは白桃のピューレです。生の白桃なら、皮をむいて種を取り、ざく切りにしてブレンダーにかけます。忘れずに加えたいのがレモン果汁。桃の切り口は空気に触れるとすぐ茶色く変色してしまうため、桃1個あたり小さじ1杯程度を落として酸化を防ぎます。
食感は繊維の残し具合で決まります。なめらかに仕上げたいなら、ブレンダーにかけたあと目の細かい濾し器を通す。果肉感を残したければ短時間の攪拌でとどめる。バーでは前者が主流ですが、家庭で作るなら後者も素朴でおいしいものです。
市販の冷凍ピューレを使う手もあります。製菓材料店やオンラインで手に入り、多くは加糖タイプ。糖度10%前後の加糖品なら砂糖の追加は不要ですが、無糖タイプならシロップを少量足すとバランスが整います。
ベリーニのレシピにおける桃ピューレとスパークリングワインの比率は、1:2〜3が基準です。ピューレ40〜50mlに対してスパークリングを100〜150ml。ピューレの糖度が高いほどスパークリングを増やす方向で調整すると、甘ったるくなりません。
注ぎ方にも手順があります。まずピューレをグラスの底に入れ、スパークリングワインを二度に分けて注ぎ足すこと。一度目は全体の3分の1程度を注いで軽くなじませ、泡が落ち着いてから残りを注ぎます。粘度のあるピューレに一気に炭酸を注ぐと、細かい泡が一斉に発生して吹きこぼれてしまうのです。
分離もよくある悩みでしょう。時間が経つとピューレが底に沈みますが、長いマドラーを底まで差し込み、一度だけゆっくり引き上げる。この一動作で泡を大きく損なわずに混ぜられます。作ったらすぐに飲む、というのがベリーニでは特に大切です。
日本で白桃が出回るのは7〜9月が中心です。それ以外の時期は三つの選択肢があります。一つめは冷凍ピューレ。年間を通して手に入り、味わいも安定しています。二つめは無添加の桃ネクター。手軽ですが粘度が低いぶんとろみは出にくく、比率を1:2程度に寄せると物足りなさが軽減します。三つめは缶詰の白桃をブレンダーにかける方法。甘みは強めですが、レモン果汁を多めに加えれば十分成立します。
スパークリングワインのカクテルの種類は、ミモザとベリーニだけではありません。甘辛と重軽という二つの軸で整理しながら見ていきましょう。
キール・ロワイヤルは、カシスリキュール1に対してシャンパン9という比率が基本です。150mlのグラスならカシスリキュール15mlにシャンパン135ml前後。リキュールの割合が小さいため、ベースの質がそのまま味に出ます。
由来はフランス・ブルゴーニュ地方にあります。第二次大戦後、ディジョン市長を務めたフェリックス・キール氏が地元産の白ワインとカシスリキュールを合わせて振る舞ったのが「キール」の始まりで、この白ワインをシャンパンに置き換えたものが「ロワイヤル(王家の)」を冠したキール・ロワイヤルです。
コツは、カシスリキュールを先にグラスの底へ静かに落とすこと。比重の重いリキュールが底に沈み、上へ向かうほど淡くなるグラデーションが生まれます。ここでも混ぜません。
近年の人気で言えば、アペロールスプリッツを外すわけにはいきません。プロセッコ3、アペロール2、ソーダ1という比率で、氷を入れた大きめのワイングラスに注ぎます。イタリア北部発祥で、鮮やかなオレンジ色が特徴です。
ミモザ系との違いは、ソーダで割る点とハーブ由来の苦味がある点でしょう。アペロールはビターオレンジやリンドウの根などを使ったリキュールで、甘さのあとにほのかな苦味が残ります。この苦味が食欲を開くため、食前酒としての適性が高い一杯です。
フレンチ75は、ジン30mlとレモン果汁15ml、砂糖を少量シェイクし、シャンパンで満たす一杯。第一次大戦期のフランス製75mm砲にちなんだ名前のとおり、見た目の可憐さに反して度数はしっかりめです。
ブラックベルベットは、スパークリングワインとスタウト(黒ビール)を1:1で重ねたもの。麦の香ばしさと泡の軽やかさが同居する、重ための味わいです。ビール好きの方に試していただきたい一杯とイメージしやすいでしょう。
シャンパン・ルージュは、ベリー系のリキュールを合わせた甘口寄りの一杯。キール・ロワイヤルの親戚のような存在です。甘口から辛口まで、軽いものから重いものまで、幅の広さがおわかりいただけるでしょうか。
「家で作るとどうしてもお店の味にならない」という声は少なくありませんが、その差の多くは温度・順番・グラスという三つの変数で説明できます。
原則の一つめは、比重の重い材料を先に入れること。ジュース、ピューレ、リキュールはいずれも糖分を含むぶんスパークリングワインより重いため、先に入れておけば後から注いだ炭酸が自然に対流を起こしてくれます。
二つめは温度です。炭酸ガスは液体の温度が低いほど溶け込みやすく、泡持ちの最適温は6〜8℃とされています。ただし冷やしすぎると香りの成分が揮発しにくくなり、果実香が閉じてしまいます。4℃以下まで下げるのは避けたいところです。
急いで冷やしたいときは氷水が確実です。ボウルに氷と水を半々で入れて瓶を沈めると、15〜20分ほどで適温に届きます。塩をひとつかみ加えるとさらに時間を短縮できます。
フルート型は細長く、泡が一直線に立ちのぼり、液面が狭いぶん炭酸が長く保たれます。ミモザやキール・ロワイヤルのように泡を主役にしたいカクテルに向いています。
チューリップ型は香りをグラス内にためつつ泡も保てるバランス型で、ベリーニのように果実の香りを楽しみたい一杯に適しています。クープ型はクラシックな見栄えが魅力ですが炭酸は抜けやすく、短時間で飲みきる場面向きです。
ガーニッシュは見栄えと香りの両立が基本です。ミモザにはオレンジピールをひとひねり。ベリーニには桃のスライスやミントの葉を。キール・ロワイヤルには冷凍のフランボワーズを一粒。口をつけた瞬間に香りが立つあしらいを選ぶという視点が欠かせません。
開栓したスパークリングワインは、専用のストッパーを使っても冷蔵で2〜3日が保存の目安。750mlの1本を開けたら、数日以内に使い切る前提になります。1本からミモザは5〜6杯とれますが、2人で1〜2杯ずつなら半分以上が余る計算です。たまにしか作らないという人ほど、一杯あたりのコストは高くつきやすくなります。
さらに温度管理や注ぐ速度、比率の微調整は、慣れないうちは一杯ごとにばらつきが出るものです。バーであれば適温に保たれたベースを使い、その日の材料に合わせて調整した一杯が出てきます。まずは自宅で試して基本を知り、特別な日はプロに任せる。この使い分けが大切です。
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ミモザ・ベリーニを中心に、スパークリングカクテルの種類と作り方を比率を軸にご紹介してきました。覚えていただきたい黄金比率は三つ。ミモザはスパークリングワインとオレンジジュースが1:1、ベリーニは桃ピューレ1に対してスパークリング2〜3、キール・ロワイヤルはカシスリキュール1にシャンパン9です。
そして共通する原則は、材料を6〜8℃に冷やすこと、比重の重い材料を先に入れること、混ぜすぎないこと。この三点を守るだけで、家庭でも仕上がりは大きく変わります。
まずは自宅で一杯試してみて、特別な日にはプロの手による一杯を。新宿でお店を探すときは、バーファインドの店舗検索から条件に合う一軒を見つけてみてください。
誕生日や記念日の乾杯に登場する、淡いオレンジやピーチカラーの華やかな一杯。名前は知っていても「比率はどれくらいか」「泡がすぐ抜ける」と悩む方は多いのではないでしょうか。この記事では、ミモザやベリーニをはじめとするスパークリングカクテルの種類と作り方を、比率と温度という具体的な数値で解説します。あわせて、新宿でプロの一杯を味わうためのお店選びのポイントもお伝えします。
スパークリングカクテルの基本とベース選び
スパークリングカクテルとは、その名のとおりスパークリングワインをベースにしたカクテルの総称です。レシピを覚える前に、まずはどんな魅力があるのか、そしてベースにどのワインを選べばよいのかを整理しておきましょう。ここを押さえておくと、この後のレシピがぐっと理解しやすくなるはずです。
スパークリングカクテルが愛される三つの理由
第一の理由は、やはり見た目の華やかさでしょう。細かな泡がグラスの底から立ちのぼる様子は、それだけで場の空気を明るくしてくれます。写真に残したくなる一杯、とイメージしやすいでしょう。
第二に、アルコール度数の穏やかさが挙げられます。スパークリングワイン自体が11〜12度前後、そこにジュースやピューレを合わせるため、完成した一杯は5〜8度前後に落ち着きます。ビールとそう変わらない度数ですから、お酒がそれほど強くない方でも安心して手に取れます。
第三は、食前酒としての立ち位置です。炭酸の刺激と適度な酸味が食欲を刺激するため、コース料理の最初の一杯として選ばれてきました。乾杯の席で定番になっているのは、こうした理由が重なった結果なのかもしれません。
シャンパン・プロセッコ・カヴァ・クレマンの違い
スパークリングワインは産地と製法によって性格が大きく変わります。シャンパンはフランス・シャンパーニュ地方産で瓶内二次発酵によるもの。きめ細かい泡と、パンのような香ばしい香りが特徴です。プロセッコはイタリア産で、タンク内で二次発酵させるため果実味が素直に残り、洋梨や青りんごを思わせる香りが立ちます。カヴァはスペイン産で瓶内二次発酵、シャンパンに近い骨格を持ちながら価格は抑えめ。クレマンはシャンパーニュ以外のフランス各地で瓶内二次発酵させたもので、産地ごとの個性が楽しめます。
カクテルベースとして考えると、果実味のあるプロセッコは桃のピューレと合わせるベリーニに向いています。一方、キリッとした辛口のカヴァやクレマンは、オレンジジュースの甘さを引き締めるミモザに適しているでしょう。意外に思われるかもしれませんが、高価なシャンパンが必ずしも最適とは限りません。複雑な熟成香は、ジュースと混ぜることでかえって埋もれてしまうことがあるからです。
甘口・辛口の選び方と表記の読み方
ラベルの「ブリュット」「エクストラドライ」「セック」といった表記は、残糖量による甘辛の区分を示しています。辛口の順に並べるとブリュット・ナチュレ、エクストラ・ブリュット、ブリュット、エクストラドライ、セック、ドゥミセック。「ドライ」と書かれているのに実際はブリュットより甘い、という点は覚えておくとよいでしょう。
選ぶ基準はシンプルです。ジュースやピューレで割る前提なら、辛口寄りのブリュットを選ぶこと。割り材の甘さが加わるため、甘口を選ぶと全体がぼやけた印象になってしまいます。迷ったときは、ラベルの「BRUT」の四文字を目印にすると失敗が少なくなります。
ミモザの作り方!黄金比率と失敗しないコツ
数あるスパークリングカクテルのなかで、もっとも作られているのがミモザでしょう。材料が二つだけというシンプルさが人気の理由ですが、そのシンプルさゆえに比率と温度の差がそのまま味に出ます。
ミモザの材料と黄金比率
ミモザの材料は、スパークリングワインとオレンジジュースの二つだけです。黄金比率は1:1。150mlほどのグラスであれば、それぞれ60〜75mlずつが目安になります。この比率なら、オレンジの甘みと泡の爽やかさがちょうど拮抗した状態に仕上がります。
ただし比率には調整幅があります。ベースが辛口寄りで「少し酸っぱい」と感じる場合は、ジュースを気持ち多めに。反対に飲みごたえを求めるなら、スパークリングを6対4程度まで増やしてもバランスは崩れません。まずは1:1で一度作り、そこから好みの方向へ寄せていくのが確実です。
ジュースは果汁100%を選びましょう。生搾りのオレンジを使うと香りの立ち方が明らかに変わります。ちなみにミモザという名前は、この黄色みを帯びたオレンジ色が春に咲くミモザの花に似ていることに由来しています。
味と泡を決める三つの手順
一つめは、材料をすべて6〜8℃まで冷やしておくことです。ワインもジュースもグラスも冷やします。常温のジュースを注いだ瞬間に温度が上がり、そこから一気に炭酸が抜けてしまうからです。
二つめは、注ぐ順番。オレンジジュースを先にグラスへ入れ、スパークリングワインを後から静かに注ぎます。逆にすると泡が急激に膨らんで吹きこぼれ、炭酸の大半が失われてしまいます。グラスを少し傾け、内壁を伝わせるように注ぐと泡立ちが穏やかになります。
三つめは、混ぜないこと。比重の違う二つの液体は、注いだ時点で自然に対流して混ざり合うようにできています。どうしても気になる場合は、マドラーを一度だけ底から静かに持ち上げる程度に。せっかくの泡を自分で壊してしまう、というのは家庭でありがちな失敗です。
味わいを変えるアレンジのバリエーション
基本形を覚えたら、ジュースを変えるだけで印象が大きく変わります。ブラッドオレンジを使えば深紅のグラデーションが生まれ、味わいにもベリーのようなニュアンスが加わって少し大人びた印象に。
グレープフルーツを合わせるのも人気の変化球です。ほろ苦さが加わることで甘さが引き締まり、食中酒としても成立します。ピンクグレープフルーツなら色合いもやわらかくまとまるでしょう。
飲みごたえを求めるなら、オレンジリキュールを5〜10mlほど加えてみてください。香りに厚みが出て、バーで飲む一杯に近い輪郭が生まれます。加えすぎると甘さが立つため、少量から試すのが安全です。
ベリーニの作り方と桃ピューレのレシピ
ベリーニは1940年代、イタリア・ベネチアの「ハリーズ・バー」で生まれたカクテルです。画家ジョヴァンニ・ベリーニの絵画に描かれた聖人の衣の色にちなんで名づけられました。ミモザに比べると少し手間がかかりますが、その分だけ満足感は格別です。
白桃ピューレの作り方と市販品の選び方
正統なベリーニに使うのは白桃のピューレです。生の白桃なら、皮をむいて種を取り、ざく切りにしてブレンダーにかけます。忘れずに加えたいのがレモン果汁。桃の切り口は空気に触れるとすぐ茶色く変色してしまうため、桃1個あたり小さじ1杯程度を落として酸化を防ぎます。
食感は繊維の残し具合で決まります。なめらかに仕上げたいなら、ブレンダーにかけたあと目の細かい濾し器を通す。果肉感を残したければ短時間の攪拌でとどめる。バーでは前者が主流ですが、家庭で作るなら後者も素朴でおいしいものです。
市販の冷凍ピューレを使う手もあります。製菓材料店やオンラインで手に入り、多くは加糖タイプ。糖度10%前後の加糖品なら砂糖の追加は不要ですが、無糖タイプならシロップを少量足すとバランスが整います。
ピューレとスパークリングの比率と注ぎ方
ベリーニのレシピにおける桃ピューレとスパークリングワインの比率は、1:2〜3が基準です。ピューレ40〜50mlに対してスパークリングを100〜150ml。ピューレの糖度が高いほどスパークリングを増やす方向で調整すると、甘ったるくなりません。
注ぎ方にも手順があります。まずピューレをグラスの底に入れ、スパークリングワインを二度に分けて注ぎ足すこと。一度目は全体の3分の1程度を注いで軽くなじませ、泡が落ち着いてから残りを注ぎます。粘度のあるピューレに一気に炭酸を注ぐと、細かい泡が一斉に発生して吹きこぼれてしまうのです。
分離もよくある悩みでしょう。時間が経つとピューレが底に沈みますが、長いマドラーを底まで差し込み、一度だけゆっくり引き上げる。この一動作で泡を大きく損なわずに混ぜられます。作ったらすぐに飲む、というのがベリーニでは特に大切です。
桃が手に入らない季節の代替手段
日本で白桃が出回るのは7〜9月が中心です。それ以外の時期は三つの選択肢があります。一つめは冷凍ピューレ。年間を通して手に入り、味わいも安定しています。二つめは無添加の桃ネクター。手軽ですが粘度が低いぶんとろみは出にくく、比率を1:2程度に寄せると物足りなさが軽減します。三つめは缶詰の白桃をブレンダーにかける方法。甘みは強めですが、レモン果汁を多めに加えれば十分成立します。
キール・ロワイヤルほか押さえておきたい定番の種類
スパークリングワインのカクテルの種類は、ミモザとベリーニだけではありません。甘辛と重軽という二つの軸で整理しながら見ていきましょう。
キール・ロワイヤルの比率と由来
キール・ロワイヤルは、カシスリキュール1に対してシャンパン9という比率が基本です。150mlのグラスならカシスリキュール15mlにシャンパン135ml前後。リキュールの割合が小さいため、ベースの質がそのまま味に出ます。
由来はフランス・ブルゴーニュ地方にあります。第二次大戦後、ディジョン市長を務めたフェリックス・キール氏が地元産の白ワインとカシスリキュールを合わせて振る舞ったのが「キール」の始まりで、この白ワインをシャンパンに置き換えたものが「ロワイヤル(王家の)」を冠したキール・ロワイヤルです。
コツは、カシスリキュールを先にグラスの底へ静かに落とすこと。比重の重いリキュールが底に沈み、上へ向かうほど淡くなるグラデーションが生まれます。ここでも混ぜません。
アペロールスプリッツという食前酒の選択肢
近年の人気で言えば、アペロールスプリッツを外すわけにはいきません。プロセッコ3、アペロール2、ソーダ1という比率で、氷を入れた大きめのワイングラスに注ぎます。イタリア北部発祥で、鮮やかなオレンジ色が特徴です。
ミモザ系との違いは、ソーダで割る点とハーブ由来の苦味がある点でしょう。アペロールはビターオレンジやリンドウの根などを使ったリキュールで、甘さのあとにほのかな苦味が残ります。この苦味が食欲を開くため、食前酒としての適性が高い一杯です。
味わい別に見るそのほかの定番
フレンチ75は、ジン30mlとレモン果汁15ml、砂糖を少量シェイクし、シャンパンで満たす一杯。第一次大戦期のフランス製75mm砲にちなんだ名前のとおり、見た目の可憐さに反して度数はしっかりめです。
ブラックベルベットは、スパークリングワインとスタウト(黒ビール)を1:1で重ねたもの。麦の香ばしさと泡の軽やかさが同居する、重ための味わいです。ビール好きの方に試していただきたい一杯とイメージしやすいでしょう。
シャンパン・ルージュは、ベリー系のリキュールを合わせた甘口寄りの一杯。キール・ロワイヤルの親戚のような存在です。甘口から辛口まで、軽いものから重いものまで、幅の広さがおわかりいただけるでしょうか。
泡を活かす技術とシーン別の楽しみ方
「家で作るとどうしてもお店の味にならない」という声は少なくありませんが、その差の多くは温度・順番・グラスという三つの変数で説明できます。
注ぐ順番と適温という二つの原則
原則の一つめは、比重の重い材料を先に入れること。ジュース、ピューレ、リキュールはいずれも糖分を含むぶんスパークリングワインより重いため、先に入れておけば後から注いだ炭酸が自然に対流を起こしてくれます。
二つめは温度です。炭酸ガスは液体の温度が低いほど溶け込みやすく、泡持ちの最適温は6〜8℃とされています。ただし冷やしすぎると香りの成分が揮発しにくくなり、果実香が閉じてしまいます。4℃以下まで下げるのは避けたいところです。
急いで冷やしたいときは氷水が確実です。ボウルに氷と水を半々で入れて瓶を沈めると、15〜20分ほどで適温に届きます。塩をひとつかみ加えるとさらに時間を短縮できます。
グラス選びとガーニッシュの考え方
フルート型は細長く、泡が一直線に立ちのぼり、液面が狭いぶん炭酸が長く保たれます。ミモザやキール・ロワイヤルのように泡を主役にしたいカクテルに向いています。
チューリップ型は香りをグラス内にためつつ泡も保てるバランス型で、ベリーニのように果実の香りを楽しみたい一杯に適しています。クープ型はクラシックな見栄えが魅力ですが炭酸は抜けやすく、短時間で飲みきる場面向きです。
ガーニッシュは見栄えと香りの両立が基本です。ミモザにはオレンジピールをひとひねり。ベリーニには桃のスライスやミントの葉を。キール・ロワイヤルには冷凍のフランボワーズを一粒。口をつけた瞬間に香りが立つあしらいを選ぶという視点が欠かせません。
自宅で作る場合とバーで飲む場合の違い
開栓したスパークリングワインは、専用のストッパーを使っても冷蔵で2〜3日が保存の目安。750mlの1本を開けたら、数日以内に使い切る前提になります。1本からミモザは5〜6杯とれますが、2人で1〜2杯ずつなら半分以上が余る計算です。たまにしか作らないという人ほど、一杯あたりのコストは高くつきやすくなります。
さらに温度管理や注ぐ速度、比率の微調整は、慣れないうちは一杯ごとにばらつきが出るものです。バーであれば適温に保たれたベースを使い、その日の材料に合わせて調整した一杯が出てきます。まずは自宅で試して基本を知り、特別な日はプロに任せる。この使い分けが大切です。
新宿でスパークリングカクテルを楽しむならバーファインド
泡の一杯を目当てにお店を探すとき、新宿は選択肢が多いぶん、かえって迷いやすいエリアかもしれません。そんなときに役立つのが、新宿区専門のバー検索サイト「バーファインド」です。
バーファインドは、新宿駅東口・新宿三丁目、歌舞伎町・ゴールデン街、荒木町・四ツ谷・曙橋、神楽坂・飯田橋・市ヶ谷など、新宿区内10エリアから探せるエリア検索を備えています。さらに営業時間、1人当たりの予算、BARジャンル28種、シーン20項目、サービス・こだわり、席・設備、ドリンクといった条件で絞り込めます。
スパークリングカクテルを楽しみたいなら、ドリンク条件で「カクテルが豊富」「ワインが豊富」「シャンパン」を組み合わせるのが近道でしょう。「バー初心者でも安心」「女性一人でも入りやすい」といったシーン条件を加えれば、初めてでも入りやすい一軒が見つかります。英語・韓国語・中国語の多言語対応の有無でも絞り込めます。
なお、バーファインドではバーで働きたい方向けの求人情報も掲載しています。カクテルを作る側に興味が湧いた方は、あわせてご覧ください。
まとめ
ミモザ・ベリーニを中心に、スパークリングカクテルの種類と作り方を比率を軸にご紹介してきました。覚えていただきたい黄金比率は三つ。ミモザはスパークリングワインとオレンジジュースが1:1、ベリーニは桃ピューレ1に対してスパークリング2〜3、キール・ロワイヤルはカシスリキュール1にシャンパン9です。
そして共通する原則は、材料を6〜8℃に冷やすこと、比重の重い材料を先に入れること、混ぜすぎないこと。この三点を守るだけで、家庭でも仕上がりは大きく変わります。
まずは自宅で一杯試してみて、特別な日にはプロの手による一杯を。新宿でお店を探すときは、バーファインドの店舗検索から条件に合う一軒を見つけてみてください。