20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。南国の夕暮れのようなピンク色をしたシンガポールスリングは、バーのメニューでひときわ目を引く一杯です。ただ「自宅でも作れるのか」「甘そうに見えるけれど度数は強いのか」と気になる人も多いはず。実のところ、材料さえそろえば自宅でも十分に再現できます。この記事ではシンガポールスリングの作り方と度数を中心に、材料と黄金比の割合、仕上げの手順、失敗しないコツまで順を追って解説します。
作り方に入る前に、まずはこのカクテルの正体を押さえておきましょう。名前は知っていても、何をベースにした何系の一杯なのかまでは意外と知られていません。背景を知ると、一杯の味わい方も変わってくるはずです。
シンガポールスリングは、ドライジンをベースにレモンジュースの酸味と甘味を重ね、チェリーブランデー(チェリーリキュール)の色と香り、ソーダ(炭酸水・無糖)の爽快感を合わせたロングドリンクです。最大の特徴は、グラスの底に沈んだチェリーブランデーが生む赤からピンクへの2層のグラデーションでしょう。上に向かうほど色が淡くなり、光にかざすと夕焼けのような表情が現れます。口当たりはフルーティーで、ジンの個性が苦手な人でも飲みやすい方向にまとまります。甘さと酸味が拮抗しているため、最後まで飽きずに飲み進められるのも魅力です。ちなみに「スリング」とは、スピリッツを甘味と水やソーダで割るスタイルを指す古い呼び名です。同じ系統のカクテルは他にもあり、シンガポールスリングはその中でも特に華やかな一杯として知られています。
このカクテルは、シンガポールのラッフルズ・ホテルで1915年前後に生まれたとされています。当時は女性が公の場でお酒を飲みにくい時代で、ジュースのような見た目のこの一杯なら人目を気にせず楽しめた、という語り口もよく知られています。ただし誕生の経緯には諸説あり、レシピや考案者についても資料によって語られ方が異なります。マラッカ海峡に沈む夕日を思わせる薔薇色、というイメージも長く語り継がれてきたエピソードのひとつでしょう。真偽はさておき、こうした背景を知っていると、グラスを傾けながら話題を広げる小ネタとして役立つかもしれません。100年以上前に生まれた一杯が今も世界中で飲まれている、という事実そのものが、この味わいの完成度を物語っているとも言えます。
ここからは実践編です。材料と分量を先に確定させておくと、あとの手順が驚くほどスムーズに進みます。数字そのものよりも「なぜその比率なのか」を理解することが大切です。
本記事で基準とする分量は、下の表のとおりです。それぞれの材料には明確な役割があり、どれかを抜くと味の輪郭が崩れます。マラスキーノチェリーは味そのものより見た目を担う仕上げのガーニッシュとして、別枠で考えておきましょう。
この5つがそろっていれば、特別な道具や副材料がなくても形になります。逆に言えば、どれか1つを別のもので代用すると味の印象は大きく変わるということです。以降の解説はすべてこの分量を前提としています。
この配合を比率に置き換えると、ジン3:レモン1:甘味0.7:チェリーブランデー1(+ソーダ)になります。ドライジンの辛口さをレモンの酸味で締め、チェリーブランデーの甘い香りで全体を包み、最後にソーダで軽くする——そんな設計だとイメージしやすいでしょう。この黄金比の割合が優れているのは、どの材料も突出せず、それでいて全員の輪郭が残る点にあります。好みに寄せたいときは、甘めなら甘味の0.7を少し上げ、キレが欲しいならレモンを上げ、香りを立たせたいならチェリーブランデーを動かします。ただし動かすのは一度に1つだけ、幅も0.2〜0.3程度までに留めるのが無難です。3つ同時に動かすと、どれが効いたのか分からないまま全体のバランスが崩れてしまいます。1杯ごとに1か所だけ変えて記録を残していけば、数杯のうちに自分の好みの比率が見えてくるはずです。
ドライジンは銘柄ごとに香りの個性が大きく違い、柑橘寄りかハーブ寄りかで仕上がりの印象が変わります。まずは手に入りやすい定番銘柄から始めて、慣れてきたら香りの方向性で選び直すとよいでしょう。レモンジュースは生搾りか市販品かで酸味の立ち方が変わるため、味を見ながら甘味の量で調整しましょう。ソーダは無糖・強炭酸のものを使いきりサイズで選ぶと、風味が落ちる前に使い切れます。チェリーブランデーも色の濃さと甘さが銘柄で異なるので、まずは1本を使い込んで基準を作るとよいかもしれません。基準となる1本が決まると、他の材料を変えたときの違いも判断しやすくなります。
いよいよ実際の作り方です。シェークしてグラスに注ぎ、ソーダを加えて軽くステアし、最後にチェリーブランデーを沈める——この4ステップさえ押さえれば形になります。各工程の「なぜ」も添えて解説します。
グラスはコリンズグラスなどの背の高いロンググラスが定番です。縦に長いグラスほど層の見え方が美しくなるため、見た目を重視するなら口径の狭いものを選ぶとよいでしょう。道具はシェーカー、バースプーン(またはマドラー)、そして氷を用意します。作り始める前にグラスと氷をしっかり冷やしておくと、氷が溶けにくく水っぽくなりにくいでしょう。氷は市販のロックアイスのように大きく硬いものが理想です。シェーカーがない場合は、密閉できる容器で代用したり、グラスの中で直接混ぜたりする方法もあるので、道具がないからと諦める必要はありません。
シェーカーにドライジン45ml、レモンジュース15ml、ガムシロップ10mlを入れ、氷を加えて手早くシェークします。長く振りすぎると氷が溶けて味が薄まるため、全体が冷えたら短時間で切り上げるのがコツです。目安としては、シェーカーの表面に霜が薄く付いたあたりが切り上げどきになります。グラスには氷を8分目まで入れ、そこへシェークした液体を注ぎます。この段階ではチェリーブランデーを加えないという点が重要で、ここで混ぜてしまうとあの2層のグラデーションは作れません。色を楽しむ一杯だからこそ、加える順番そのものがレシピの一部だと考えておきましょう。
ソーダは泡立てないよう、グラスの縁からゆっくり注いで満たします。ステアは氷を下から持ち上げるように1〜2回転だけ。混ぜすぎると炭酸が抜け、色も濁ってしまいます。最後にチェリーブランデー15mlを、グラスの側面やバースプーンの背を伝わせて静かに注ぎ、底に沈めれば美しいグラデーションの完成です。チェリーブランデーは他の材料より比重が重いため、静かに注ぐだけで自然と底に落ち着きます。マラスキーノチェリーとマドラーを添え、飲む人が好みで混ぜられる状態で差し出すところまでが仕上げになります。
見た目も味わいも甘やかなこのカクテルですが、実際の度数はどのくらいなのでしょうか。数値と体感の両面から整理し、さらに自分で強さを調整する方法まで解説します。
氷とソーダで加水された供出時の状態で、シンガポールスリングの度数はおおよそ8〜12度が目安です。ワインと近い帯で、ビールよりは高め、と考えるとイメージしやすいでしょう。ところが甘み・酸味・炭酸がアルコール感を上手に覆い隠すため、口当たりの軽さに反してしっかり度数はあります。この「軽く感じるのに実際は強い」というギャップこそ、このカクテルで最も注意すべき点だと言えます。ジュース感覚で飲めてしまうという人ほど、ペースを落として少しずつ味の変化を楽しむのがおすすめです。氷が溶けるにつれて味わいが変化していくので、時間をかけて飲むほうがむしろこの一杯を堪能できます。
ベースとなるドライジンは一般的に40度前後のスピリッツで、そこにソーダの量、氷の溶け具合、グラスサイズが加わって最終的な度数が決まります。つまり同じレシピでも、作り手や環境によって8度寄りにも12度寄りにもなるということです。軽く飲みたいならソーダを多めにし、しっかり味わいたいならソーダを控えめにして大きめの氷を使いグラスを小さめにする、という方向で考えましょう。ジンの量そのものを減らす方法もありますが、その場合は他の材料も同じ比率で減らさないと味のバランスが崩れます。度数は固定された数字ではなく、自分で選べる幅がある、という視点が欠かせません。
ここまで紹介してきた構成は、世界に広まった簡略版と呼べるスタイルです。材料が少なく手順も短いため、自宅で作るならこちらのほうが現実的でしょう。一方でIBAが定めるレシピはパイナップルジュースなどを含む、より材料の多い構成として知られています。そちらは味わいがぐっとトロピカルな方向に振れ、口当たりもとろりと厚みのあるものになります。材料構成が変われば味の印象も、飲んだときの強さの感じ方も変わるということです。バーで飲んだ一杯と自宅で作った一杯の印象が違ったとしても、それは失敗ではなく系統の違いかもしれません。どちらが正解というものではなく、シンガポールスリングには複数の系統がある、と捉えておくとよいでしょう。
レシピどおりに作ったつもりでも、思った仕上がりにならないことは珍しくありません。ここでは初心者がよく直面する3つの失敗を、原因の切り分けと対策のセットで整理します。ひとつずつ潰していけば、再現性は確実に上がるはずです。
色が混ざってしまう原因は、たいてい3つに絞れます。チェリーブランデーを勢いよく注いでいる、ステアの回数が多すぎる、氷が少なくて液体が動きやすい状態になっている、のいずれかでしょう。対策はシンプルで、バースプーンの背やグラスの側面を伝わせて静かに沈めること、そしてステアを最小限にとどめることです。氷をグラスの8分目までしっかり入れておけば液体の動きが抑えられ、層も安定しやすくなります。仮に混ざってしまっても味そのものに問題はないので、次の一杯で調整すれば十分です。
輪郭のぼやけた味になる原因は、シェークの振りすぎによる水っぽさ、ガムシロップの入れすぎ、ソーダの注ぎすぎの3つが代表的です。まずはレモンジュースの酸味を少し足して味を締め、次に大きめの氷を使って溶けを遅らせてみましょう。甘すぎると感じる場合は、ガムシロップを減らすよりチェリーブランデーの量を見直したほうが効くこともあります。それでも安定しないなら、目分量をやめてメジャーカップで計量するのが確実です。迷ったときは黄金比のジン3:レモン1:甘味0.7:チェリーブランデー1に一度戻し、基準を取り直すところから始めましょう。
せっかくの爽快感が失われるのは、ソーダの温度と鮮度が原因であることがほとんどです。よく冷えたソーダ(炭酸水・無糖)を、開封したてのうちに使うのが基本になります。温度が高いほど炭酸は抜けやすいため、冷蔵庫でしっかり冷やしておくことが第一歩です。グラスと液体そのものも十分に冷やしておき、混ぜる回数を最小限に抑えれば泡は長持ちするでしょう。500mlのペットボトルより使いきりサイズを選んだほうが、常に開封したての強炭酸を使えるので、次に買うときの参考にしてみてください。
自宅で作る楽しさと、プロが仕上げる一杯の完成度は、やはり別物です。シェークの精度、氷の質、グラスの冷やし方といった細部の積み重ねが、そのまま味に出ます。一度プロの一杯を体験しておくと、自宅で作るときの目標地点がはっきりします。
新宿でその一杯を探すなら、バーファインドが便利です。新宿区内10エリアから店舗を検索でき、営業時間や予算、BARジャンル28種、シーン20項目、サービス、席設備、ドリンクの条件で絞り込めます。「カクテルが豊富」「バー初心者でも安心」「静かに飲みたい」といった条件を組み合わせれば、初めてでも入りやすい一軒にたどり着けるでしょう。英語・韓国語・中国語の多言語対応にも触れられているため、海外からの友人を案内したいときにも役立ちます。バーで働くことに興味がある人向けに、求人情報も掲載されています。
シンガポールスリングの作り方と度数について、3つの柱を振り返ります。配合はジン3:レモン1:甘味0.7:チェリーブランデー1(+ソーダ)という黄金比の割合、手順はシェーク→グラスに注ぐ→ソーダを加えてステア→チェリーブランデーを沈める、そして供出時の度数はおおよそ8〜12度が目安です。この3点さえ押さえれば、今夜からでも一杯が作れます。うまくいかなくても原因は限られているので、ひとつずつ確かめれば必ず形になります。数字を自分好みに動かせるようになれば、同じカクテルがまるで違う表情を見せてくれるでしょう。自宅での一杯に慣れたら、本格的なシンガポールスリングを味わえるバーを探してみるのもおすすめです。20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。お酒は適量を、ゆっくりと楽しみましょう。
20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。南国の夕暮れのようなピンク色をしたシンガポールスリングは、バーのメニューでひときわ目を引く一杯です。ただ「自宅でも作れるのか」「甘そうに見えるけれど度数は強いのか」と気になる人も多いはず。実のところ、材料さえそろえば自宅でも十分に再現できます。この記事ではシンガポールスリングの作り方と度数を中心に、材料と黄金比の割合、仕上げの手順、失敗しないコツまで順を追って解説します。
シンガポールスリングとはどんなカクテル?
作り方に入る前に、まずはこのカクテルの正体を押さえておきましょう。名前は知っていても、何をベースにした何系の一杯なのかまでは意外と知られていません。背景を知ると、一杯の味わい方も変わってくるはずです。
赤いグラデーションと甘酸っぱい味わい
シンガポールスリングは、ドライジンをベースにレモンジュースの酸味と甘味を重ね、チェリーブランデー(チェリーリキュール)の色と香り、ソーダ(炭酸水・無糖)の爽快感を合わせたロングドリンクです。最大の特徴は、グラスの底に沈んだチェリーブランデーが生む赤からピンクへの2層のグラデーションでしょう。上に向かうほど色が淡くなり、光にかざすと夕焼けのような表情が現れます。口当たりはフルーティーで、ジンの個性が苦手な人でも飲みやすい方向にまとまります。甘さと酸味が拮抗しているため、最後まで飽きずに飲み進められるのも魅力です。ちなみに「スリング」とは、スピリッツを甘味と水やソーダで割るスタイルを指す古い呼び名です。同じ系統のカクテルは他にもあり、シンガポールスリングはその中でも特に華やかな一杯として知られています。
ラッフルズ・ホテルで生まれたとされる背景
このカクテルは、シンガポールのラッフルズ・ホテルで1915年前後に生まれたとされています。当時は女性が公の場でお酒を飲みにくい時代で、ジュースのような見た目のこの一杯なら人目を気にせず楽しめた、という語り口もよく知られています。ただし誕生の経緯には諸説あり、レシピや考案者についても資料によって語られ方が異なります。マラッカ海峡に沈む夕日を思わせる薔薇色、というイメージも長く語り継がれてきたエピソードのひとつでしょう。真偽はさておき、こうした背景を知っていると、グラスを傾けながら話題を広げる小ネタとして役立つかもしれません。100年以上前に生まれた一杯が今も世界中で飲まれている、という事実そのものが、この味わいの完成度を物語っているとも言えます。
シンガポールスリングの材料と黄金比の割合
ここからは実践編です。材料と分量を先に確定させておくと、あとの手順が驚くほどスムーズに進みます。数字そのものよりも「なぜその比率なのか」を理解することが大切です。
基本の材料と分量の目安
本記事で基準とする分量は、下の表のとおりです。それぞれの材料には明確な役割があり、どれかを抜くと味の輪郭が崩れます。マラスキーノチェリーは味そのものより見た目を担う仕上げのガーニッシュとして、別枠で考えておきましょう。
この5つがそろっていれば、特別な道具や副材料がなくても形になります。逆に言えば、どれか1つを別のもので代用すると味の印象は大きく変わるということです。以降の解説はすべてこの分量を前提としています。
味が決まる黄金比の考え方
この配合を比率に置き換えると、ジン3:レモン1:甘味0.7:チェリーブランデー1(+ソーダ)になります。ドライジンの辛口さをレモンの酸味で締め、チェリーブランデーの甘い香りで全体を包み、最後にソーダで軽くする——そんな設計だとイメージしやすいでしょう。この黄金比の割合が優れているのは、どの材料も突出せず、それでいて全員の輪郭が残る点にあります。好みに寄せたいときは、甘めなら甘味の0.7を少し上げ、キレが欲しいならレモンを上げ、香りを立たせたいならチェリーブランデーを動かします。ただし動かすのは一度に1つだけ、幅も0.2〜0.3程度までに留めるのが無難です。3つ同時に動かすと、どれが効いたのか分からないまま全体のバランスが崩れてしまいます。1杯ごとに1か所だけ変えて記録を残していけば、数杯のうちに自分の好みの比率が見えてくるはずです。
材料を選ぶときのポイント
ドライジンは銘柄ごとに香りの個性が大きく違い、柑橘寄りかハーブ寄りかで仕上がりの印象が変わります。まずは手に入りやすい定番銘柄から始めて、慣れてきたら香りの方向性で選び直すとよいでしょう。レモンジュースは生搾りか市販品かで酸味の立ち方が変わるため、味を見ながら甘味の量で調整しましょう。ソーダは無糖・強炭酸のものを使いきりサイズで選ぶと、風味が落ちる前に使い切れます。チェリーブランデーも色の濃さと甘さが銘柄で異なるので、まずは1本を使い込んで基準を作るとよいかもしれません。基準となる1本が決まると、他の材料を変えたときの違いも判断しやすくなります。
シンガポールスリングの作り方と仕上げの手順
いよいよ実際の作り方です。シェークしてグラスに注ぎ、ソーダを加えて軽くステアし、最後にチェリーブランデーを沈める——この4ステップさえ押さえれば形になります。各工程の「なぜ」も添えて解説します。
準備するグラスと道具
グラスはコリンズグラスなどの背の高いロンググラスが定番です。縦に長いグラスほど層の見え方が美しくなるため、見た目を重視するなら口径の狭いものを選ぶとよいでしょう。道具はシェーカー、バースプーン(またはマドラー)、そして氷を用意します。作り始める前にグラスと氷をしっかり冷やしておくと、氷が溶けにくく水っぽくなりにくいでしょう。氷は市販のロックアイスのように大きく硬いものが理想です。シェーカーがない場合は、密閉できる容器で代用したり、グラスの中で直接混ぜたりする方法もあるので、道具がないからと諦める必要はありません。
シェークしてグラスに注ぐまで
シェーカーにドライジン45ml、レモンジュース15ml、ガムシロップ10mlを入れ、氷を加えて手早くシェークします。長く振りすぎると氷が溶けて味が薄まるため、全体が冷えたら短時間で切り上げるのがコツです。目安としては、シェーカーの表面に霜が薄く付いたあたりが切り上げどきになります。グラスには氷を8分目まで入れ、そこへシェークした液体を注ぎます。この段階ではチェリーブランデーを加えないという点が重要で、ここで混ぜてしまうとあの2層のグラデーションは作れません。色を楽しむ一杯だからこそ、加える順番そのものがレシピの一部だと考えておきましょう。
ソーダとチェリーブランデーで仕上げる
ソーダは泡立てないよう、グラスの縁からゆっくり注いで満たします。ステアは氷を下から持ち上げるように1〜2回転だけ。混ぜすぎると炭酸が抜け、色も濁ってしまいます。最後にチェリーブランデー15mlを、グラスの側面やバースプーンの背を伝わせて静かに注ぎ、底に沈めれば美しいグラデーションの完成です。チェリーブランデーは他の材料より比重が重いため、静かに注ぐだけで自然と底に落ち着きます。マラスキーノチェリーとマドラーを添え、飲む人が好みで混ぜられる状態で差し出すところまでが仕上げになります。
シンガポールスリングのアルコール度数の目安
見た目も味わいも甘やかなこのカクテルですが、実際の度数はどのくらいなのでしょうか。数値と体感の両面から整理し、さらに自分で強さを調整する方法まで解説します。
供出時の度数と飲み口の体感
氷とソーダで加水された供出時の状態で、シンガポールスリングの度数はおおよそ8〜12度が目安です。ワインと近い帯で、ビールよりは高め、と考えるとイメージしやすいでしょう。ところが甘み・酸味・炭酸がアルコール感を上手に覆い隠すため、口当たりの軽さに反してしっかり度数はあります。この「軽く感じるのに実際は強い」というギャップこそ、このカクテルで最も注意すべき点だと言えます。ジュース感覚で飲めてしまうという人ほど、ペースを落として少しずつ味の変化を楽しむのがおすすめです。氷が溶けるにつれて味わいが変化していくので、時間をかけて飲むほうがむしろこの一杯を堪能できます。
度数を左右する要素と調整のしかた
ベースとなるドライジンは一般的に40度前後のスピリッツで、そこにソーダの量、氷の溶け具合、グラスサイズが加わって最終的な度数が決まります。つまり同じレシピでも、作り手や環境によって8度寄りにも12度寄りにもなるということです。軽く飲みたいならソーダを多めにし、しっかり味わいたいならソーダを控えめにして大きめの氷を使いグラスを小さめにする、という方向で考えましょう。ジンの量そのものを減らす方法もありますが、その場合は他の材料も同じ比率で減らさないと味のバランスが崩れます。度数は固定された数字ではなく、自分で選べる幅がある、という視点が欠かせません。
世界に広まった簡略版とIBAが定めるレシピの違い
ここまで紹介してきた構成は、世界に広まった簡略版と呼べるスタイルです。材料が少なく手順も短いため、自宅で作るならこちらのほうが現実的でしょう。一方でIBAが定めるレシピはパイナップルジュースなどを含む、より材料の多い構成として知られています。そちらは味わいがぐっとトロピカルな方向に振れ、口当たりもとろりと厚みのあるものになります。材料構成が変われば味の印象も、飲んだときの強さの感じ方も変わるということです。バーで飲んだ一杯と自宅で作った一杯の印象が違ったとしても、それは失敗ではなく系統の違いかもしれません。どちらが正解というものではなく、シンガポールスリングには複数の系統がある、と捉えておくとよいでしょう。
自宅で作るときにつまずきやすいポイントと対策
レシピどおりに作ったつもりでも、思った仕上がりにならないことは珍しくありません。ここでは初心者がよく直面する3つの失敗を、原因の切り分けと対策のセットで整理します。ひとつずつ潰していけば、再現性は確実に上がるはずです。
きれいなグラデーションにならない
色が混ざってしまう原因は、たいてい3つに絞れます。チェリーブランデーを勢いよく注いでいる、ステアの回数が多すぎる、氷が少なくて液体が動きやすい状態になっている、のいずれかでしょう。対策はシンプルで、バースプーンの背やグラスの側面を伝わせて静かに沈めること、そしてステアを最小限にとどめることです。氷をグラスの8分目までしっかり入れておけば液体の動きが抑えられ、層も安定しやすくなります。仮に混ざってしまっても味そのものに問題はないので、次の一杯で調整すれば十分です。
味がぼやける・甘すぎる
輪郭のぼやけた味になる原因は、シェークの振りすぎによる水っぽさ、ガムシロップの入れすぎ、ソーダの注ぎすぎの3つが代表的です。まずはレモンジュースの酸味を少し足して味を締め、次に大きめの氷を使って溶けを遅らせてみましょう。甘すぎると感じる場合は、ガムシロップを減らすよりチェリーブランデーの量を見直したほうが効くこともあります。それでも安定しないなら、目分量をやめてメジャーカップで計量するのが確実です。迷ったときは黄金比のジン3:レモン1:甘味0.7:チェリーブランデー1に一度戻し、基準を取り直すところから始めましょう。
炭酸がすぐ抜けてしまう
せっかくの爽快感が失われるのは、ソーダの温度と鮮度が原因であることがほとんどです。よく冷えたソーダ(炭酸水・無糖)を、開封したてのうちに使うのが基本になります。温度が高いほど炭酸は抜けやすいため、冷蔵庫でしっかり冷やしておくことが第一歩です。グラスと液体そのものも十分に冷やしておき、混ぜる回数を最小限に抑えれば泡は長持ちするでしょう。500mlのペットボトルより使いきりサイズを選んだほうが、常に開封したての強炭酸を使えるので、次に買うときの参考にしてみてください。
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自宅で作る楽しさと、プロが仕上げる一杯の完成度は、やはり別物です。シェークの精度、氷の質、グラスの冷やし方といった細部の積み重ねが、そのまま味に出ます。一度プロの一杯を体験しておくと、自宅で作るときの目標地点がはっきりします。
新宿でその一杯を探すなら、バーファインドが便利です。新宿区内10エリアから店舗を検索でき、営業時間や予算、BARジャンル28種、シーン20項目、サービス、席設備、ドリンクの条件で絞り込めます。「カクテルが豊富」「バー初心者でも安心」「静かに飲みたい」といった条件を組み合わせれば、初めてでも入りやすい一軒にたどり着けるでしょう。英語・韓国語・中国語の多言語対応にも触れられているため、海外からの友人を案内したいときにも役立ちます。バーで働くことに興味がある人向けに、求人情報も掲載されています。
まとめ
シンガポールスリングの作り方と度数について、3つの柱を振り返ります。配合はジン3:レモン1:甘味0.7:チェリーブランデー1(+ソーダ)という黄金比の割合、手順はシェーク→グラスに注ぐ→ソーダを加えてステア→チェリーブランデーを沈める、そして供出時の度数はおおよそ8〜12度が目安です。この3点さえ押さえれば、今夜からでも一杯が作れます。うまくいかなくても原因は限られているので、ひとつずつ確かめれば必ず形になります。数字を自分好みに動かせるようになれば、同じカクテルがまるで違う表情を見せてくれるでしょう。自宅での一杯に慣れたら、本格的なシンガポールスリングを味わえるバーを探してみるのもおすすめです。20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。お酒は適量を、ゆっくりと楽しみましょう。